秋田高専 自然科学系 

きりたんぽ数学セミナー


幾何学・代数・組み合わせ論などを中心として様々な数学のセミナーを,春と秋の年2回程度行う予定です.専門家・非専門家を問わず参加可能です.

是非,皆様の参加をお待ちしております!!

平成29年度の数学セミナー(第6回〜)はこちら


第5回 きりたんぽ数学セミナー

- 開催日程 -

開催日: 平成28年 3月11日(土) 14:00〜/ 3月12日(日) 10:00〜

場所: 秋田高専 テクノコミュニティ

 

- プログラム -

< 3月11日>

.14:00 〜 15:00

講演者: 伊藤孝明(首都大学東京)

タイトル: プロジェクトネットワークの最短完了時間として実現できるトロピカル多項式の特徴づけ

アブストラクト
いくつかの作業の間に順序を与えたものがプロジェクトネットワークである。
プロジェクトネットワークの最短完了時間は、各作業の所要時間のトロピカル多項式で表されることが知られている。
本講演では、与えられたトロピカル多項式がプロジェクトネットワークの最短完了時間として実現できるための必要十分条件について述べる。
そのために、まずは必要条件をいくつか紹介する。
この必要条件を満たすトロピカル多項式には単純グラフを対応させることができ、最終的にグラフの言葉を用いて必要十分条件を与える。

 

.15:30 〜 16:30

講演者: 小林正典(首都大学東京)

タイトル: Recent development in tropical curve theory

アブストラクト
トロピカル多様体は,位相空間としては多面体複体であり,代数多様体の極限として得られる.
区分的に線形な対象であるため取扱いが比較的容易であり,また実次元のままでベズーの定理などの交点理論が成り立つため,
複素射影多様体における数え上げ問題等に有効に利用されてきた.
近年,トロピカル曲線に対するリーマン・ロッホの定理が確立され,コンパクトリーマン面と類似の代数幾何的性質が追及されている.
本講演ではトロピカル幾何の基礎から始め,特に種数の小さな曲線に対する諸結果を紹介する.

 

< 3月12日>

.10:00 〜 11:00

講演者: 小田切真輔(秀明大学)

タイトル: 重分配的トロピカル超体と多項式

アブストラクト
O. Viroにより定義されたトロピカル超体は複素数体の脱量子化として得られる超体、すなわち和が多値を取る“体”である。
この超体は単分配律は満たすものの重分配律は満たさない。
本講演では重分配律を満たすような“超体”を定義し、多項式が因数分解可能であるための十分条件について述べる。
この研究は佐藤宏平氏(秋田高専)との共同研究である。

 

 

 

第4回 きりたんぽ数学セミナー

- 開催日程 -

開催日: 平成28年 11月4日(金) 15:00〜

場所: 秋田高専 専攻科教室

 

- プログラム -

.15:00 〜 16:00

講演者: 瀬戸樹(名古屋大学)

タイトル: 分割された多様体のToeplitz指数定理

アブストラクト
偶数次元閉多様体におけるDirac作用素の指数定理 (Atiyah-Singer) は, Gauss-Bonnetの定理などを含む重要な定理である.
しかし, 奇数次元に対しては意味をなさない.
奇数次元に対しては, Dirac作用素ではなくToeplitz作用素を考えることで意味のある指数定理を得ることができる (Baum-Douglas).
また, 非可換幾何学を用いることで, 指数定理は様々な設定の下で一般化されており, 分割された完備Riemann多様体もその一種である.
この場合も, 多様体の次元の偶奇によってDirac作用素 (Roe,Higson) とToeplitz作用素 (瀬戸) を使い分ける.
セミナーでは, 最も簡単な閉多様体である単位円周上のToeplitz作用素の指数定理を題材にして指数定理に現れる道具に親しんでから,
閉多様体上の指数定理を概観し, 分割された多様体上の指数定理を紹介する.

 

.16:30 〜 17:30

講演者: 今田充洋(茨城工業高等専門学校)

タイトル: 超ケーラー多様体の複素超曲面上における複素概接触計量構造について

アブストラクト
正規性を有する実接触計量多様体である佐々木・アインシュタイン多様体は、 数学のみならず物理学の研究においても重要な対象として扱われている。
本講演では実接触計量多様体の概念を複素多様体へと拡張した複素接触計量多様体に スポットを当てて、この具体例を構成することを考える。
主結果として、超ケーラー多様体の複素超曲面上には、複素概接触計量構造が存在することを示した。
時間が許せば、この構造が持つ性質についても議論したい。

 

 

 

第3回 きりたんぽ数学セミナー

- 開催日程 -

開催日: 平成28年 3月20日(日) 15:00〜/ 3月21日(月) 10:00〜

場所: 秋田高専 テクノコミュニティ

※ 当日は,正門を入って左手にある守衛室に開催場所の案内を掲示します.

 

- プログラム -

< 3月20日>

.15:00 〜 16:00

講演者: 白根竹人(宇部工業高等専門学校)

タイトル: 分岐被覆による平面曲線の分解数と平面曲線の位相について

アブストラクト
複素射影平面上の平面曲線の位相的な埋め込み方は既約成分の個数や特異点の型では定まらないことが知られている.
1990年代には,補空間の基本群を用いて既約成分の個数と特異点の型が同じであるが埋め込み方が異なる平面曲線の組 (ザリスキ対)が多く発見された.
2000年以降には,補空間の基本群が同型なザリスキ対や補空間が位相同型なザリスキ対が発見されている.
本講演では,分岐被覆による平面曲線の分解数を導入し,分解数によって補空間の基本群が同型である新たなザリスキ対の存在を証明する.

 

.16:30 〜 17:30

講演者: 坂内真三(茨城工業高等専門学校)

タイトル: 射影平面の接束の制限と接触曲線の幾何学

アブストラクト
ある平面曲線Bに対し, 曲線Cが全ての交点で接する様に交わっている時, CをBの接触曲線という.
平面曲線配置の幾何学の研究では, 接触曲線が介在する場合に様々な面白い例が存在する事が知られている.
本講演では, 接触曲線の幾何学を解説するとともに, 私が最近取り組んでいる, 与えられた平面有理曲線がどのような接触曲線を持ち得るかを
射影平面の接束の制限を通して調べる方法について紹介する.

 

< 3月21日>

.10:00 〜 11:00

講演者: 小田切真輔(秀明大学)

タイトル: 工程計画問題とトロピカル幾何

アブストラクト
工程計画問題において、クリティカル・パスはプロジェクト全体の スケジュールを左右する経路であるため、プロジェクトの重要な 管理対象である。
一方でプロジェクトの最短完了時間はトロピカル演算を 用いて計算されるため、トロピカル超曲面を用いてクリティカル・パスの 変化を可視化することが可能である。
本講演では小林正典氏との共同研究に基づき、工程計画問題、 トロピカル超曲面、0/1多面体などについて説明し、経路間が 遷移可能かどうか判定する方法について述べたい。

 

 

 

第2回 きりたんぽ数学セミナー

- 開催日程 -

開催日: 平成27年 11月6日(金) 15:00〜

場所: 秋田高専 専攻科教室

 

- プログラム -

.15:00 〜 16:00

講演者: 椋野純一(名古屋大学)

タイトル: 正曲率の大域的双曲型ローレンツ多様体の基本群について

アブストラクト
CalabiとMarkusは, 3次元以上の正定曲率完備ローレンツ多様体の基本群が有限群であることを示した.
小林俊行氏は,CalabiとMarkusの結果を微分幾何学的な視点で理解するために, 正定曲率の計量を摂動した際にも,
完備ローレンツ多様体の基本群の有限性が保たれるかという問題を提出した.
当講演では, 講演者の得た小林氏の問題に対する部分的解答について紹介する.

 

.16:30 〜 17:30

講演者: 福永知則(九州産業大学)

タイトル: $C^{¥infty}$曲線の像に対する枠付き曲線の存在条件について

アブストラクト
本講演では、枠付き曲線理論の微分幾何学的理論及び$C^{¥infty}$曲線の像に対する枠付き曲線の存在条件について紹介する。
前半では、高橋雅朋(室蘭工業大学)・本多俊一(北海道大学)によって導入された枠付き曲線の微分幾何学的理論について紹介する。
枠付き曲線とは、$C^{¥infty}$曲線に正規直交枠場を指定したものであり、正則空間曲線や単位接束内の標準接触形式に対するルジャンドル曲線の拡張となっている。
n次元ユークリッド空間内の枠付き曲線に対して曲率を定義することができ、正則空間曲線における存在性定理と一意性定理に対応する主張が成り立つが、
枠付き曲線の場合、曲線が正則性や独立条件を充たす必要は無い。このことが正則空間曲線論と比べたときのひとつの利点である。
さて、与えられた空間曲線を枠付き曲線の理論の枠組みで扱うことができれば、そこから様々な展開が期待できるが、全ての空間曲線を枠付き曲線として扱えるわけではない。
そこで、後半では、n次元ユークリッド空間内の$C^{¥infty}$曲線の像が枠付き曲線となるための条件について紹介する。特に、平面内の多角形は枠付き曲線として実現できることを示す。
本講演は、高橋雅朋との共同研究に基づくものである。

 

 

 

第1回 きりたんぽ数学セミナー

- 開催日程 -

開催日: 平成27年 9月18日(金) 15:00〜

場所: 秋田高専 専攻科教室

 

- プログラム -

.15:00 〜 16:00

講演者: 中江康晴(秋田大学)

タイトル: 基本群の左順序付け可能性と葉層構造について

アブストラクト
3次元多様体のヒーガードフレアーホモロジーと基本群の左順序付け可能性について、Boyer、Gordon、WatsonらによりL-space予想というものが提示され、
盛んに研究が行われている。特に今回の講演では、結び目に沿ったデーン手術葉層構造の存在に関連させて、L-space予想に関する話題と現在の自分の研究について紹介する。

 

.16:30 〜 17:30

講演者: 山口祥司(秋田大学)

タイトル: On the asymptotic behavior of the Reidemeister torsion and 3-manifolds (ライデマイスタートーションの漸近挙動と三次元多様体について)

アブストラクト
We can derive geometric features of 3-manifolds from the asymptotic behavior of the Reidemeister torsion.
In this talk, we review recent developments in the study of the asymptotic behavior of the Reidemeister torsion.
We will also discuss a progress on a relation to torus decomposition of 3-manifolds.

(ライデマイスタートーションの漸近挙動から三次元多様体の幾何学的な性質を導くことができる。
 今回の講演では、ライデマイスタートーションの漸近挙動に関する最近の発展について紹介し、
 三次元多様体のトーラス分解に関連した進展について議論したい。)

 

会場の都合の為,参加を希望される方は,事前に主催者までご連絡下さい.

主催者: 佐藤宏平(k-sato●akita-nct.ac.jp), 鈴木直矢(nysuzuki●akita-nct.ac.jp), 加世堂公希(kasedou●akita-nct.ac.jp)

※ご連絡の際には,上の●を@に変換して下さい.

※発表時刻は予告なく変更される可能性があります.