秋田高専のホームページにようこそ。
秋田工業高等専門学校校長の高橋雅之です。
前任の植松先生から校長職を引き継ぎました。よろしくお願い致します。
さて、昨年、令和4年は、明治5年に我が国の近代教育制度のはじめとなる「学制」が発布されて150年目の記念の年でありました。9月5日には、天皇皇后両陛下の御臨席の下、「学制150年記念式典」が開催されました。
「学制」は、小学・中学・大学からなる学校制度を定めた、我が国最初の全国規模の近代教育法令です。我が国は、江戸時代から藩校や寺子屋といった教育の蓄積がありましたが、全国民を等しく対象とした近代的な教育制度は、この学制の発布をもって開始されたのです。
学制の発布に際して、政府は「學事獎勵ニ關スル被仰出書」を発表し、学制の趣旨を明確にしました。この文書は、「邑ニ不學ノ戸ナク家ニ不學ノ人ナカラシメン事ヲ期ス」とされ、国民皆教育の方針が打ち出されたことであまりにも有名です。
とともに、冒頭において、「人々自ラ其身ヲ立テ其産ヲ治メ其業ヲ昌ニシテ以テ其生ヲ遂ル所以ノモノハ他ナシ身ヲ脩メ智ヲ開キ才藝ヲ長スルニヨルナリ而テ其身ヲ脩メ智ヲ開キ才藝ヲ長スルハ學ニアラサレハ能ハス」としています。学ぶことが、人間が社会の中で自立して生きるために欠かすことのできないものであることを直截に表現しています。
また、それまでの教育を批判して、「或ハ詞章記誦ノ末ニ趨リ空理虚談ノ途ニ陷リ其論高尚ニ似タリト雖トモ之ヲ身ニ行ヒ事ニ施スコト能ハサルモノ少カラス」としています。
高等専門学校教育の理念を先取りしたかのような、150年前の先人の卓見に驚かされます。
高等専門学校は、実践的・創造的技術者を養成することを目的とした5年制の高等教育機関として昭和36年に制度が発足し、理論と実践をあわせて学び、学理に裏付けられた技術を身につけた技術者の養成機関として、高い評価を獲得するに至っています。
秋田工業高等専門学校は、昭和39年に創設され、地元の方々の協力も得ながら、校舎等の他に、実習工場、学生寮、更には 地域共同テクノセンターといった充実した施設・設備が整えられるとともに、研究者としての実力を備えた教員が配置され、創設以来多くの人材を輩出してきました。本校は、創立60周年を目前にしておりますが、4月5日に入学式を挙行して新入生を受け入れ、令和5年度のスタートをきったところです。
秋田工業高等専門学校の教育の基本理念は、「自立 挑戦 創造」です。
学生諸君がより良く生きるためのための学び、社会に出て実際に活躍するための学びの場が秋田工業高等専門学校です。本校における学びを通じて、人間として成長して自立し、仲間とともに様々なことに挑戦し、社会に出て創造的に活躍するための基礎を身につけることを教育理念としています。
秋田工業高等専門学校では、平成29年度から、「創造システム工学科」の体制をとっています。融合複合分野の基礎知識に加えて、得意とする特定工学領域で高度な専門知識・技術を身に付けた創造性豊かな技術者の育成を目指すためです。
入学の後、希望する専門分野に従って2年次に4つの系から1つを、そして4年次に各系の内の2つの専門コースから1つを順次選択して、専門性を高めていきます。
さらに本校には2年制の専攻科が設けられており、令和4年度からは「グローバル地域創生工学専攻」として、グローバルな視点をもち地域創生の実践に力を発揮する技術者の育成を目指しています。
秋田工業高等専門学校は、学生にとって社会に開かれた世界に開かれた「窓」でありたいと考えています。
本校は「グローバルエンジニア」という考え方を学校全体として掲げており、情報技術を取り入れた教育や卒業後の進路を考慮したキャリア教育、成果を上げている実践的英語教育を行うことで、グローバルに活躍できる技術者の養成を目指しています。
「グローバルエンジニア」として世界のどんな場所に出ていっても恥ずかしくない、そんな技術者の養成を目指しています。
このように本校は教育の目標を高く設定しています。高等専門学校は高等教育機関であり、そこで学ぶのは生徒ではなく「学生」とされるのです。目標を達成することは決して容易なことではありませんが、秋田高専は充実した学びの環境を整え、学生を全力で支えていきます。
ホームページをご覧の皆様、秋田工業高等専門学校では、ホームページを通じて秋田高専のことをよりよくご理解いただきたいと考えております。
技術は様々な社会の課題を解決する人間の英知の結晶です。現代にあって、社会課題の解決に取り組むエンジニアにとっては、「学ぶ」ということはエンジニアである限りたゆまず続けていかなければならないことです。その入口が秋田高専であるととらえていただき、本校の活動に一層のご理解を賜れたらと存じます。
どうかよろしくお願い致します。