学校案内

|掲載日 2024/02/05|掲載内容有効期限 —-/–/–|担当者 総務課総務係|

 

 

校長のあいさつ

 

 

 皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 秋田高専のホームページにようこそ。

 秋田高専の校長の高橋です。

 

 秋田高専は、「自立 挑戦 創造」を教育の基本方針として掲げています。

 学生の挑戦を応援する秋田高専です。

 

 1月27日と28日の2日間にわたって、東京で「第17回全国高等専門学校 英語プレゼンテーションコンテスト」の全国大会が開催されました。

 秋田高専からは、東北地区大会を勝ち抜いた4名の学生が参加しました。シングル部門1名とチーム部門3名です。

 このコンテストは、学年を問わない、いわば無差別級です。先輩に後輩が挑戦しないといけないハンディはありますが、1年生から何度でも挑戦できます。

 参加することに意義がある、という言葉がありますが、まさにコンテストに参加することで勉強を深めていくことができます。

 

 高専はエンジニアを育成する学校ですが、高専と英語がイメージとして結びつかない方もいらっしゃるかもしれません。高専生は英語が苦手である、という印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

 高専の卒業生は、就職すれば企業活動の最前線に立つ戦力として期待されていますが、そのためには英語がどうしても必要です。企業は英語のできるエンジニアを求めています。

 秋田の地元の企業の方からもそのようなお話をうかがっています。秋田に生産拠点があったとしても、市場は中国をはじめとした世界なのです。製品に強みを持つ企業ほど、オリジナルブランドを展開する企業ほど、市場は世界をカバーしています。 

 

 秋田高専は、グローバルエンジニアの育成を目指して、英語力の強化に全校をあげて取組んできました。

 秋田高専の目指す英語力は、使える英語力です。受験のための英語ではありません。コミュニケーションのための英語です。

 また、英語を勉強するに当たって目標をはっきりさせることが必要です。そこでTOEICを活用しています。TOEICが英語力のすべてをはかるものではないことは言うまでもありませんが、英語力の一つの指標として活用し、学習の到達目標をはっきりさせプログラムを組んでいます。

 

 では、秋田高専は5年間でどのようなプログラムで英語教育を進めているか、ごく簡単に紹介したいと思います。

 1年生の段階では、秋田に来ている留学生などの外国人との交流を体験します。中学まで英語を「勉強」してきた学生が、英語を「使う」体験をすることになります。この体験が学生に与える影響は大きく、多くの学生が英語でのコミュニケーションスキルを磨くことの重要性に気がつきます。英語にやる気が出るとともに、使える英語の習得という秋田高専での5年間の英語の勉強の方向性をつかむことになります。

 2年生になると、国際教養大学(AIU)の英語プログラムを受講して英語によるコミュニケーション能力を向上させます。AIUでは、英語コミュニケーションのための専門のプログラムを開発しており、AIUの学生が参加者のグループについてプログラムを進めます。グループでの英会話の練習やAIUの留学生との交流、英語での発表などが組み込まれた優れたプログラムで、秋田高専は毎年参加しています。

 3年生4年生には、シンガポールへの英語研修があります。この英語研修は秋田高専の伝統となっており、長い協力関係にあるシンガポールポリテクニクの英語プログラムを受講します。信頼できる協力機関のおかげで安心して研修をすることができます。来年度からは1年生2年生を対象としたコースも新たに設け、名付けて「特訓コース」とする予定です。

 そして、5年生。高専5年間の締めくくりですが、秋田高専では、5年の後期の卒業研究の一環として、最長5ヶ月間の海外留学をすることができます。

 通常の高専のカリキュラムでは、長期にわたって海外に出てしまうと単位が取得できずに留年することになってしまいます。秋田高専ではカリキュラムを調整して5年後期に余裕を作っているので、留年の心配なく留学に出ることができます。

 今年度は3名の学生が留学しました。

 3名では少ないじゃないか、とお感じになるかもしれませんが、一口に海外留学といっても、まずふさわしい受け入れ先の学校を探さなくてはなりませんし、高専5年生に適したプログラムを組んでもらうことも必要になります。その上で、トビタテ留学ジャパンや企業の奨学金に応募して審査のために必要なプレゼンテーションをこなし、留学に必要な資金を確保することも必要です。

 これらの一連の手続きを学生と教職員が一緒になって進めるのですが、こうした留学準備自体が学生にとっては貴重な勉強の機会となります。

 来年度以降も継続して5年生を送り出していく計画ですが、高専生活の締めくくりですから、卒業研究の一環として大学の研究室との共同や企業での研修などもからめて、学生の進路や希望に応じたプログラムの充実を進めていくことにしています。

 

 おわかりいただけたと思いますが、切り口としては英語力の向上ですが、秋田高専が真にねらうところは学生の全人格的な発展にあります。

 世界で活躍できる、どんなところに出しても恥ずかしくない、そんな学生を育てたい。学生に様々なことに挑戦して色々な経験をしてもらって、人間としての幅を広げ、視野の広い、人間的な魅力にあふれた志の高い人間に育ってほしい。

 先日、秋田高専の卒業生の石井大智投手(阪神タイガース)が秋田高専を訪問してくれました。ごく自然に母校の恩師に挨拶がしたいと、忙しいシーズンオフの帰省中に時間を割いて来てくれました。

 母校や恩師のことを忘れない。素晴らしい石井投手の人間性がうかがえます。高専という、プロ野球選手を目指すには決して恵まれた環境ではなかったかとは思いますが、その中で彼は挑戦して大きな花を咲かせしました。それも彼の人間性あったればこそではないかと思います。

 留学から戻った3人の学生も、口々に送り出してくれた家族や教職員に対する感謝を語り、留学先での仲間から受けた親切を心からの感謝とともに振り返っていました。

 海外留学という挑戦によって、彼らは人間的に大きく成長したのです。素晴らしい人間性を身につけることができたのです。

 

 今回は、秋田高専の在校生・卒業生の挑戦と活躍を紹介しました。

 高専は中学校を卒業してからの5年間という大枠があります。3年間の高等学校よりも時間的な余裕があります。その5年間で何を学ぶか、何を経験するか。エンジニアの育成を目指す以上は経済社会の変化や技術の進歩に即した見直しが必要ですし、なによりも学生の希望や目指しているものとのすり合わせをしなければいけません。

 「これが高専教育だ」というものは、指導する側から押し出すものではなく、学生とともに学ぶ中で作っていくべきものです。社会とともにあるべきエンジニアとしての学びは、学生一人一人それぞれであってしかるべきです。

 コンテストに学生を出場させたり、カリキュラムを調整して海外や大学・企業など高専の外での勉強の機会を作ったり、高専の5年間を活かした柔軟なやり方を考えなければいけませんが、学校側の思い込みを排してできるだけ学生を巻き込み、学生自らが自分で高専5年間の設計ができるようにしていきたいと考えています。

 

 

 

 

校長 高橋 雅之

 

 

 

 

 

 


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