皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 秋田高専のホームページにようこそ。
 秋田高専の校長の高橋です。

 本年10月23日に、「秋田の未来を創る協議会」が発足しました。
 発足の会には、佐竹秋田県知事、穂積秋田市長を始めとした秋田県内の市町村長の方々、秋田県の経済界の関係者を中心に、多くの方が集まりました。
 秋田大学の山本学長が共同代表となり、私は、秋田県立大学、国際教養大学、秋田公立美術大学、聖霊女子短期大学の学長とともに、副代表をおおせつかりました。また、大変光栄なことに、秋田県立大学の福田学長に続いて登壇の機会をいただき、秋田高専として、地元の皆さまとの協力を進めていく決意を表明いたしました。

 高専は、産業界に有為な技術者を送り出すために設立され、それぞれの高専の立地の背景には各地の産業基盤があります。このため、国立高専は地元の産業界との協力関係を重視し、産業界のみなさまから教育面でも就職の面でも陰に陽にお力を頂いています。
 秋田高専でも、「グローカル人材育成会」という秋田高専をサポートしてくれる企業による組織があり、会員企業からの講師派遣による学生に対するキャリア教育、インターンシップ、就職に向けた説明会、産学連携の研究活動の後押しと、様々にご協力をいただいております。
 このたび発足した「秋田の未来を創る協議会」に秋田高専が参加することができたのも、協議会の中心に「グローカル人材育成会」のメンバーの方が名を連ね、秋田高専を特に推薦してくれたからです。秋田高専にとっては、全県の関係者との協力関係をつくる絶好の機会になると思います。

 高専は、大学等とともに高等教育機関とされています。高等教育機関の地域での役割とは何でしょうか。
 私は、高等教育機関は、社会の公器として、一党一派に偏らない世界に開かれた普遍性を重んじるべきであると考えます。設立の経緯や所在の地域との関係は大前提としても、世界に開かれた普遍的な価値に立脚して、人類全体の幸福と進歩のために教育研究活動を行うことを使命とするべきであると考えます。
 ですので、それぞれの地域において高等教育機関は、いわば地域の「窓」として、あるときは世界を広く見渡す「窓」となり、またあるときは世界から知識や文化を取り入れる「窓」であるべきです。
 関西で最初に納豆を商品として並べたのは京都大学の生協だという、これは本当の話かどうかの事実関係の詮索は別として、納豆という食文化が京都大学という「窓」から関西にもたらされたのだ、ということのたとえ話のようなものではないでしょうか。
地域に新しい風を取り入れる「窓」としての高等教育機関の活動が地域に刺激を与える。高等教育機関は、新しい可能性のアイデアを地域に提案し、その実現を試みる場であることができたらと思います。

 秋田高専も、なにかできないか。
 秋田高専も、秋田の皆様にアイデアを提案して、いっしょに実現していきたいと考えています。
 例えば、秋田県は自然に恵まれ広い県土には多くの資源があります。これらを活用して循環型の持続可能性のある発展のサイクルを作れないか。地元の資源を活かした起業というようなことも、世界とのつながりを作りながら進めていくことができるのではないか。
 また、地元の皆さまと一緒に活動する中に秋田高専の学生たちを送り出し、そこでの経験を彼らの教育に直接活かすことはできないか。実地に様々な経験をすることで彼らに将来を考えさせ、スケールの大きな成長のきっかけとすることができるのではないか。
 さらに、秋田高専が力を入れている英語の教育について、地域の教育機関との協力関係を作って新しい教育方法の開発と普及に結び付けられないか。

 「秋田の未来を創る協議会」の共同代表・副代表に、秋田高専の近くの高等教育機関の代表が名を連ねていることは大変心強いことです。実はここに「秋田の未来を創る協議会」の発想のポイントがあるのです。
 秋田大学を筆頭とした秋田の高等教育機関が、秋田の未来のためにどんなアイデアが出せるのか、秋田はアイデアを待っているのです。
 秋田高専として、例えば国際性において優れた国際教養大学との連携、農学部等を有する秋田県立大学との協力など、秋田高専だけではできないアイデアを用意しなければなりません。

 現在、秋田高専では校内でアイデアを磨き始めています。できるところから関係の皆様との相談を始めています。
 今の段階では具体的に申し上げることはできませんが、「秋田の未来を創る協議会」に参加する機関の力をあわせた提案ができるように進めてまいります。