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 秋田高専の校長の高橋です。 

 10月6日、秋田高専では本当にうれしいことがありました。
 タイに設立された高専であるKOSEN-KMITLから10名の学生が、1名の引率の先生とともに秋田高専に1ヶ月の予定で研修に来てくれました。
私は、高専機構の本部に勤務していた際にタイでの高専設立プロジェクトに関係していました。何度もタイに出張して、大使館やJICAの方々のご指導のもとで教育大臣をはじめとしたタイ政府や、高専設立に協力してくれた大学の関係者と協議と調整を重ねました。
 タイにとっては、高等専門学校=高専という学校種は前例のないものでした。高専は職業訓練に特化した機関ではありません。大学と同じ高等教育機関として学問的な研究活動も行っていますが、社会に出て実際に活躍することのできる技術者を育成することを目的としています。そして、中学校を卒業した段階で学生を受け入れて5年間の教育をほどこすという点に大きな特徴があります。
 高専という学校がどういうものなのかをタイの関係者の方々に理解してもらうために説明を重ねるとともに、日本の高専の視察に来てもらうなどのアレンジを行いました。そのうえでタイの関係者の方々は、政府部内や大学の中で、高専という新しい学校種の設立に向けて非常な苦労を乗り越えてくれました。時間もかかりましたし大いにくたびれましたが、関係者が力を合わせることでタイに2校の高専(KOSEN-KMITLとKOSEN KMUTT)を開設することと、日本の高専が立ち上げの支援をすることで話がまとまりました。
 学校というものは開校して完成ではありません。それはあくまでスタート地点です。ましてタイにおいては前例のない高専ですから、タイの高専が本当の意味で“できあがった”と言えるようになるためには、まだ時間がかかるのではないでしょうか。タイで高専がどう育っていくのか、タイの高専の卒業生が実業界をはじめとした各界でどんな活躍をしていくのか、そうした成果の積み重ねによってタイでの高専の姿が定まっていくことになるでしょう。それは日本の高専が60年の歴史の中で社会から評価を受け、卒業生が奮闘し、結果として確固たる地位を築くに至っていることと同じことです。
 スタートのところでは日本から高専教員がタイに出かけていってお手伝いをするということも必要でしょう。実際に秋田高専を含めて多くの高専教員がタイの高専に派遣されています。しかし、日本のやり方がそのままタイで通用するということではないと思います。
 とにかくタイの高専と日本の高専が、学生も教員もとらわれることなく交流し、お互いに勉強し合うことです。
 10月6日に本校に到着したKOSEN-KMITLの学生たちですが、夕方の歓迎懇親会では、もう教員の出る幕ではありません、さっそく本校の学生と打ち解けて盛り上がっていました。
 これから約1ヶ月の研修期間で、彼らは秋田県内の企業を訪問したり本校の高専祭に参加したりする予定になっています。まず学生同士が若者同士で仲良くなって視野を広げて成長してほしい。そして、若者のきずなが基になって日本とタイの友好が末永く続いていってほしいと心から願います。
 11月には、今度は秋田高専から18人の学生がタイの高専を訪問して交流することになっています。私も同行し、今回の訪日のお礼を申し上げるとともに、今後の末永いお付き合いをお願いしてこようと考えています。