秋田高専は10月30日と31日の2日間にわたり、グローバルエンジニア育成に向けた独自の英語教育プログラムを公開する「グローバルエンジニアプログラム公開授業」を本校キャンパスにて開催しました。本イベントには、全国から多くの高専関係者の皆様にご参加いただきました。
本校学生は、全高専の平均を大幅に上回る高い英語力を誇っており、今回の公開授業は、各高専におけるグローバル事業推進の一助となるべく、本校が取り組む「世界で実際に使える英語」の教育現場をご紹介する機会となりました。専門科目に英語を用いた授業や、TOEIC対策授業、そして中学卒業したての1年生を対象としたユニークな国際交流プログラムなど、多岐にわたる先進的な取り組みが紹介されました。
驚異の実績を支える「緻密な戦略」 : TOEIC対策授業
全国高専4年生の平均386点(2023年実績)に対し、本校4年生は481.65点という高いTOEIC®平均スコアを記録しています。この高い英語力を支えるのが、学生の英語の基礎力強化を目的としたTOEIC対策授業の導入です。
「総合英語Ⅰ(TOEIC対策授業)」(機械系、電気・電子・情報系4年対象)では、TOEIC L&Rテストのリスニングやリーディングの具体的な解法が指導されました。リスニングでは、英文の概要を把握するための「グラスピング・アンド・レスポンス法」が、リーディングでは、30問を10分で解くために、いかに問題文の英語を必要最低限しか読まずに解答を導き出すかという戦略が紹介されました。

「技術」と「英語」の融合:専門科目を英語教材で学ぶ現場
グローバルな舞台で活躍する技術者育成のため、本校では専門科目に英語を用いた授業を導入しています。高専ならではの専門性の高い授業が複数公開されました。

生物工学実験(物質・生物系3年)では、パン酵母によるアルコール発酵を観察し、キューネ発酵管を用いて発酵速度を求める実験が行われました。

英語ⅡA(電気・電子・情報工学系2年)では、旅行や映画をテーマに、ペアでの会話練習や「映画の説明を聞いてタイトルを当てる」(Listen & Guess)などの活動を通して、実践的なスピーキング能力の向上を目指しました。

応用数学Ⅱ(電気・電子・情報系4年では、フーリエ級数の概念につながる基本的な数学概念(周期信号、級数など)を、英語のスライドプレゼンテーションを用いながら学習を進めました。

応用物理化学(物質・生物系5年)では、紫外・可視分光法(UV-vis)の原理を学び、濃度測定など実際のデータを用いる解析方法について、主に英語を用いる講義形式で深めました。

英語ⅠA(1年)では、ペア・グループ活動を通じて、「どちらが~ですか?」といった表現で互いの情報を尋ねたり、意見を比べたりする練習を行い、コミュニケーションを広げる力を養うことを目指しました。
「英語嫌い」をなくす : 1年生「英語漬け」体験プログラム
本校では、中学を卒業したての1年生が入学した早い段階で海外への興味・関心を引き、「英語嫌い」の学生を減らすことを目的に、「1年生英語教育」プログラムを2日間にわたり実施しています。
31日午前に公開された授業では、本校英語教員・ネイティブ教員に加え、本校留学生や秋田県国際課の国際交流員が担当しました。
学生たちは、クイズ形式のアクティビティを通して、留学生の出身国の文化、食生活、慣習などを英語で楽しく学習しました。会場には活気があふれ、学生たちが英語を「コミュニケーションの道具」として活き活きと使う姿が印象的でした。

2日間にわたる公開授業を通じて、本校が低学年からの英語への苦手意識をなくす工夫から、専門科目への英語導入、そして高いTOEIC®スコアを達成するための戦略に至るまで、グローバルエンジニア育成に向けた包括的かつ独自の取り組みをご紹介することができました。
また、同イベントにあわせ、参加された全国の教職員の皆様との間で意見交換会も実施され、高専教育の未来について熱意ある情報交換を行う貴重な場となりました。
今回得られた知見や交流を糧として、秋田高専は今後も、世界に通用する技術者の育成に向けた独自の教育プログラムをさらに発展させ、全力を尽くしてまいります。

