2026年3月1日(日)から7日(土)までの7日間、秋田工業高等専門学校(秋田高専)を舞台に、アジア3カ国(タイ、モンゴル、シンガポール)と日本全国から集まった学生たちが、再生可能エネルギーをテーマに共に学ぶ国際教育キャンプ「KOSEN Global Camp」を開催しました。
 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「さくらサイエンスプログラム」の支援を受けた本プログラムでは、学生たちが混成チームを組み、秋田県内の最先端エネルギー施設視察や伝統文化体験を通じて、地域社会と技術の共生について全編英語で議論し、最終日に独創的な解決策を提言しました。

「Level 3」のエンジニアを目指して:キャンプの趣旨と目的
 秋田県は国内有数の風力発電導入量を誇る「再エネ先進地」です。本キャンプの目的は、単なる技術習得に留まらず、再生可能エネルギーをいかに地域社会の活性化に繋げるかを多角的に考えることにあります。国立高専機構が定義する、多国籍チームで協働し課題を解決できる「Level 3」のグローバルエンジニアを育成するため、座学ではない「現場での実践」を教育の柱としました。

伝統の咆哮と「知」の芽生え : 初動と文化体験

 キャンプ初動では、秋田高専のキャンパスツアーや、多国籍チームによる「紙コップ風車」の発電実験が行われ、早くも「知の交流」が熱を帯びました。
 男鹿市では、ユネスコ無形文化遺産「男鹿のナマハゲ」を体験。真山伝承館での迫力ある実演を通じ、地域の規律を守り、怠け心を戒める精神文化に触れました。これは、技術者が持つべき誠実な倫理観を五感で理解する貴重な機会となりました。

現場で知る「地域への覚悟」 : バイオマス・能代視察

 3日目と4日目は、エネルギーの最前線を巡りました。秋田市のバイオマス発電所では、未利用資源が電力に変わるダイナミズムを体感。
 能代市では、風力発電の第一人者である本田明弘教授による基調講演を実施し、情報の真偽を見極める「リテラシー」と、地域との「対話」の重要性を学びました。
 また、風の松原自然エネルギー株式会社では、市民ファンドへの圧倒的な応募数や、災害時の電力供給、AIによる鳥類保護など、地域と共生するための企業の強い「覚悟」に学生たちは圧倒されました。さらにJAXAロケット実験場では、ロケット技術を応用した水素エネルギーの可能性を視察しました。

「ワンチーム」で挑む最終提言 : 英語による成果発表会

 キャンプ後半、学生たちは「TED」の映像でプレゼンスキルを磨き、餅つき大会での「非言語コミュニケーション」を通じて絆を深め、議論を加速させました。

 最終日の3月6日には、秋田駅前での街頭インタビューにより市民の「生の声」を収集。それらを踏まえ、秋田カレッジプラザにて4チームが以下の独創的なプランを英語で提言しました。

Team A「SNOW BEER」
 風力発電の廃熱で除雪コストを下げ、その水でビールを醸造し移住者を呼ぶプラン。
Team B「Wind Amusement Park」
 風力を100%活用し、遊びながら再エネを学べる秋田の新しいランドマークの提案。
Team C「POWERING AKITA’S FUTURE」
 風力資源を軸に雇用を創出し、県民の年収向上とインフラ不足解消を目指す壮大なビジョン。
Team D「Inspiring Future Engineers」
 小中学生向けの体験型教室を通じ、次世代の技術者を育成する教育プロジェクト。

未来へ羽ばたくライセンス : 修了と旅立ち

 プログラムの最後には、JST発行の修了証が授与されました。この証書は、秋田で培った専門知と多様な価値観を尊重し合う対話を通じて得た、揺るぎない自信の証です。翌3月7日、学生たちは再会の約束とともに、それぞれの国や地域へと帰路につきました。

 秋田高専は、これからも「オンキャンパスの国際化」を力強く推進し、世界を舞台に活躍するグローバルエンジニアを育成してまいります。秋田で育まれたこの国境なき絆が、いつか世界中で新しい風を巻き起こすことを確信しています。

■本キャンプの詳細なレポートは、こちらからご覧いただけます。

 令和7年度秋田工業高等専門学校KOSEN Global Camp日別レポート(PDF)