秋田県内の計6つの高等教育機関で構成する「ALL秋田のアイデア提案イベント企画事務局」は10月2日(水)、あきた芸術劇場において「秋田を元気にする!学生からの提案」イベントを開催しました。

 本イベントに参加したのは、秋田大学、秋田県立大学、国際教養大学、秋田公立美術大学、聖霊女子短期大学、秋田工業高等専門学校の学生たち。それぞれの学生が、秋田の活性化のためのアイデアや取り組み、地域と連携した研究、その他日頃取り組んでいる研究成果などの発表を行いました。

 

第1部. 基調講演

 まず、始めに秋田工業高等専門学校の高橋校長より開催の挨拶。本イベント開催の趣旨の説明とともに運営に協力いただいた関係者はじめ、来場者の皆様へ謝辞を述べました。

 

 第1部では、秋田高専の卒業生でもある株式会社ElevationSpace 代表取締役CEO 小林 稜平氏による基調講演を実施。

 同氏は 秋田高専在学中に「宇宙建築」の世界に出会い、宇宙ベンチャーを含む複数社でインターンを経て起業。現在は、国際宇宙ステーション(ISS)で行われている宇宙での研究開発や技術実証などを、無人かつ小型の人工衛星で行えるように取り組んでいます。

小林氏による講演の様子

 講演では、自身の幼少期から起業に至った経緯等を紹介。

 就職や研究者になること、そして自分で起業すること、3つの選択肢があったが、自分がやりたいことを実現するために、最終的に起業の道を選択した。起業を選択できたのは、高専生のころ、老若男女問わず、様々な人との出会いを大切にしていたからだと思う。その中で、起業家の人たちとの出会う機会を持つことができ、それにより起業することの選択が、それほど自分にとって遠い存在ではなくなったと、高専生活での出会いの大切さを話していただきました。

 

 また、好きな言葉として「Who Dares Wins (敢えて挑んだものが克つ)」を紹介。

 とにかく、自分の好きなこと、夢を見つけて欲しい。それは簡単なことではないが、自分の限界を決めつけず、人との出会いを大切にし、多様な価値観に触れあうことにより、少しずつ道が拓けることもある。自分自身もチャレンジし続けるので、若い人たちも一緒に頑張ろうと呼びかけました。

 

 

第2部. 学生発表

 第2部では、本イベント参加校の中から、5校計8チームが研究成果を発表。秋田を元気にするために、若者らしい視点でアイデアを提案しました。

No.

発表チーム

タイトル

1

秋田大学①

産学官による日本酒を活用した地域活性化

2

秋田大学②

地域プロスポーツによる地域活性化の取り組み

3

秋田県立大学①

秋田の飲食店街を賑やかす 高品質&超低コスト広告事業

4

秋田県立大学②

ゲーム性を利用した企業説明のあり方とその効果について

5

国際教養大学

教育リソースの産学連携 
 ー 学生活動の持続可能性を目指して ー

6

聖霊女子短期大学

地域・家庭・学生が共に育ち合う“遊び場”創造プロジェクトの実践を通した学び

7

秋田工業高等専門学校①

新規モチ米3系統と既存品種の比較

8

秋田工業高等専門学校②

秋田における資源循環型デザイン
 ~下水 de SDGs~

(各発表の概要はこちらから【PDF】)

 

 

第3部. パネルディスカッション

 第3部では、小林氏と各校の代表者でパネルディスカッションを実施。ファシリテーターは、ラジオパーソナリティ等でも活躍されているタレントの北川楓夏氏が務めました。

 ディスカッションでは、本イベントタイトルである「秋田を元気にすること 学生からの提案」をテーマに、意見を交換。

 秋田は、都会と違って人口減少と高齢化が進み寂しいイメージがある。就職先のことも考えると若者が県外に出ていくのは仕方がないと意見が出された一方で、県外出身の学生からは、「秋田は、元気があるイメージ。大曲の花火、秋田竿燈まつり等、県外者にも秋田の祭りは有名」との発言がありました。

 

 ある学生からは、地域と連携した研究を行ったことで、地元の良さに気づくこともあった。地元関係者の方の力を借りなければ実現できないことも多くあったと言い、世代を超えて一緒に取り組むことで、新しい視点を持つことができたとのこと。

 「地元のことを研究して、大事に思ってくれる若い人がいるだけで、自分も嬉しく思う。若い人達が、そのような研究をしていることをもっと発信して欲しい」と小林氏。

 ディスカッション最後に、地方活性化の問題は非常に難しいこと。一人ひとりが関心をもって考え、行動に移さない限り解決されることはない。本イベントが、若者はじめ地域の人達に対して関心を持つきっかけとなったなら嬉しいと締めくくりました。   

 

 

 本イベントは、秋田の大学・短大・高専の活動を、学生の発表を通して県民の皆様へアピールしたいと思い、今年の4月に立ち上げた実行委員会のメンバーを中心に準備を進めてきました。

 日頃の研究成果を発表する学生のためのイベントでもありますが、「秋田を元気にする!学生からの提案」のテーマどおり、その発表内容は県民の皆さんへ届けたい内容となっています。

 本イベントは来年度も開催する予定です。是非、会場にお越しになって、学生からの提案に耳を傾けてみてください。