秋田高専のホームページにようこそ。
5月の連休が終わって、秋田も過ごしやすい天候です。秋田高専の学生諸君も本格的な高専生活に入っております。
秋田高専から東に目をやると、大平山の緑の山体が美しく陽光に映えており、整備された水田には水が引き入れられて田植えも終わっています。
西に目をやると、秋田の西側は日本海ですが、「なまはげ」で有名な男鹿半島にかけての海岸線には多くの風力発電の風車がたっています。
風力発電は、地球温暖化を防ぐためのエネルギー技術として注目されており、秋田でも新しい産業として大きな期待が寄せられています。地元の新聞でも取り上げられない日がないくらいに注目を浴びています。
美しい自然、かけがえのない地球の環境。
人間は、自然と折り合いをつけていかなければ生存していくことはできません。いくら豊かな自然環境に恵まれているとしても、環境に甘えて資源を一方的に利用するだけでは、文明は行き詰まってしまいます。
我々の生活圏は、純粋な意味での自然環境ということはできません。秋田の美しい山や農村の風景。まるで存在することが当たり前のように感じられるかもしれませんが、それは決して自然にできあがったものではないのです。これらはみな人間の技術が作り出したものです。先人が山林を整備して林業をおこし、水田を開発し用水等の農業基盤を整備してきたからこそであります。
自然環境を利用して、折り合いをつけながら開発を進めてきた技術の力。最近注目されている風力発電も、風という自然の力を技術の力で電力に変えるものです。
このように、我々の生活は、ありとあらゆる技術の集積の上に成り立っています。古くからあるものであっても、それは、先人が当時の材料や知識の限界の中で生み出した技術の結晶なのです。
秋田工業高等専門学校は、技術者を育成する学校です。
高等専門学校は、実践的・創造的技術者を養成することを目的とした5年制の高等教育機関として昭和36年に制度が発足し、理論と実践をあわせて学び、学理に裏付けられた技術を身につけた技術者の養成機関として、高い評価を獲得するに至っています。
今では、高専=KOSENとして日本でも世界でもその評価は定着しています。
技術を支える学問的な基礎をおろそかにしないこと、人間として必要な教養をしっかりと身につけること、高専で学ぶ者を「学生」として自主性を尊重すること、学生寮を整備して通学の心配なく勉強する環境を整えること、これらが高等教育機関としての高専の特徴です。そして、なにより中学を卒業してから5年間、じっくりと腰を落ち着けて勉強をすることができる点、この点は最も強調したい点です。
60年の歴史の中で、工業の分野を中心に多くの人材を輩出してきた高専ですが、私はこれからの高専に国際性の観点を付け加えてみたいと考えています。
例えば、環境問題に対応するための風力発電ですが、秋田の風力発電事業にも多くの外国の企業が関わっています。そのような外国の企業から、秋田高専に人材育成の要望が寄せられています。秋田の地元企業も、外国から進出してきた企業と組んで事業を展開するために、「英語のできる技術者」と明示して採用の相談を寄せてきてくれています。
秋田高専の学生の進む先、それは世界なのです。たとえ秋田の地元に就職したとしても、そこは世界とつながる秋田なのです。
もともと秋田高専では、「グローバルエンジニアの育成」という教育目標を掲げてきました。秋田には国際教養大学という、国際性を追求するよき先輩がいますので、秋田高専も国際教養大学との協力のもとで英語力の向上に努力してきました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、残念ながら肝心の海外との交流が思うにまかせない時期が続きました。今年度からようやく再起動です。挽回していくことが必要です。
その第一歩として、タイに設立された高専に、わが校の教員が今年度から2年間の予定で派遣されました。タイの高専の学生が秋田高専に研修に来る計画も進められています。
技術に国境はなく、高専を卒業した技術者は海外に出ることをためらうことは許されません。いやそれどころではなく、そもそも海外の企業が、技術者が、日本にチャンスを求めてやってきて、地元の期待を担って活躍しているのです。
秋田高専の教育理念は、「自立 挑戦 創造」です。
秋田高専で学ぶ学生が「グローバルエンジニア」の道を歩むことができるよう、秋田高専として何ができるのか。英語は秋田でも勉強できます、しかし、外国を経験することは秋田ではできません。そこで、秋田高専では、学生全員に在学中少なくとも1回は海外に研修に出る機会を与えられるように準備を進めています。
高専は中学を卒業してからの5年間という、学生にとっては最も成長できる期間を過ごす高等教育機関です。どんな形であっても在学中にせめて1回は海外を経験することが、就職するにせよ、進学するにせよ、決して無駄にはならない経験になると思います。
秋田高専は、「グローバルエンジニア」として世界のどんな場所に出ていっても恥ずかしくない、そんな技術者を養成していきたいと考えています。
繰り返しになりますが、高等専門学校=高専は高等教育機関であり、そこで学ぶのは生徒ではなく「学生」とされます。当然ながら教育の目標は高く設定しています。工業に関する専門科目だけではなく、一般の科目も、語学も、更には企業へのインターンシップも、様々な勉強をしてもらいます。5年生になれば、5年間の総まとめとしての卒業研究を仕上げなければなりません。実際に、これだけの勉強をこなしてきたからこそ、秋田高専の卒業生は就職でも進学でも高い実績を上げてきたのです。そこに海外研修も加わることになります。
高い教育目標を達成することは決して容易なことではありませんが、秋田高専は充実した学びの環境を整え、学生を全力で支えていきます。
HPの利点は、世界中どこからでも閲覧することができる点です。秋田高専も門戸を広く開放しています。
このHPをご覧の方は、高専のご関心をお持ちの方ではないかと想像します。
高専への進学をお考えであれば、秋田高専は8月5日にオープンキャンパスを開催しますので、ぜひご来校ください。現在秋田高専で学んでいる学生が参加しますので、秋田高専での学生生活の実際を知ることができます。
秋田高専では推薦入試を実施していますので、秋田高専への進学をご検討の際は、推薦入試についてご検討いただけたらと存じます。中学校の先生に、早いうちに秋田高専の推薦入試についてお問い合わせをいただければ、秋田高専から学校へのご説明等の対応をさせていただくこともできると思います。
夏に向かうこの時期、中学3年生は卒業後の進路を考える時期であると思います。
申しました通り、秋田は自然に恵まれた勉強するには素晴らしい環境にあります。多くの志ある方々に秋田高専を志望していただけることを心から希望しております。
どうかよろしくお願い致します。