|掲載日 2024/07/11|掲載内容有効期限 —-/–/–|担当者 地域共同テクノセンター長|
● はじめに
高専制度(創設昭和36年)は、日本独自の教育システムであり、産業界との連携を進め、日本の高度経済成長期に貢献する人材を輩出し続けた。また地域人材の育成と輩出を主な趣旨とした、時代を先取りしたシステムである、地域企業40社からなる『秋田高専産学協力会』(以下、産学協力会という)が平成4年に発足し、地域産業の振興に貢献してきた。
このような状況の下、地域産業との連携強化による地域の活性化が高専のミッションとして求められ、地域産業への技術開発支援の強化を目的に、平成13年4月1日に『秋田高専地域共同テクノセンター』(以下、テクノセンターという)が設置され、秋田高専としての新たな地域貢献活動の第一歩を踏み出し、テクノセンターと産学協力会を両輪とする産学官連携体制が構築された。
その後、平成16年には独立行政法人国立高等専門学校機構(国立高専機構)が発足し、全国高専規模による産学連携体制、教員の交流等が活発された。平成27年度~令和元年度に渡って、「秋田大学地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の参加校として、地域定着人材の輩出を促進した。一方で、平成24年度以降、高専システムのタイ、モンゴル、ベトナム等への海外展開が継続され、令和元年度にはタイKOSENの開校に至っている。
これらの高専システムの国際化、グローバルエンジニアの育成、地域定着人材による地方創生等多岐に渡る課題解決を担える教育・研究システムの土壌が形成されつつある。このような状況下において、地域内外の知を集約することでの人材育成と共同教育・研究を趣旨とした「秋田高専グローカル人材育成会」が令和2年度に創設され、地域創生をより強固とする目的で、産学協力会との発展的合流を令和4年度に果たした。
これにより、テクノセンターの役割
(1) 民間機関等との共同研究、受託研究に関すること
(2) 民間機関等に対する技術開発相談及び学術情報の提供に関すること
(3) 民間機関等との技術協力に関すること
(4) 民間機関等の技術者に対するリフレッシュ教育に関すること
も、地域にかぎらず、海外も含めた地域内外との連携までを視野に入れた活動によって、地域産業の振興、地域創生のミッションを達成することと変遷してきた。
地域共同テクノセンターは、地域共同テクノセンター長(副校長(研究担当)が兼務)を委員長とした「地域共同テクノセンター運営委員会」によって運営(担当事務:総務課)されている。同センターでは、
・本校の技術相談等の受付を一本化した「ワンストップサービス」の運用
・本校「グローカル人材育成推進委員会」(委員長:校長)との連携による地域人材育成
・本校「知的財産委員会」との連携による知財管理
・秋田大学COC+事業関連の「秋田創生COC+協議会」での地域定住人材促進の協議
・「あきた科学技術振興ビジョン推進部会」でのビジョンの協議
・「秋田産学官ネットワーク」における地域の産学官連携促進の協議
・高専機構「第1ブロック研究推進ボード会議」での各地域における研究推進の協議
・高専機構リサーチ・アドミニストレーター(KRA)との連携による外部資金獲得等の協議
・高専研究国際シンポジウム(KRIS)への参加調整
・「KOSEN EXPO」(趣旨:高専と参加企業等のマッチング)への参加調整
・文部科学省「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」への参加
・「東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアム(T-Seeds)」における協議
・その他、研究助成応募、人材育成事業への調整
(記載日:令和6年7月)
を行っている。また、同センターが主催(または共催)で、
・「県内企業工場見学」および「業界研究会」
・「あきたグローカル技術研究会」
・「県内企業を知る会」
・「企業による個別面談会」
・短~長期インターンシップ・職業体験等
地域の企業が関係する行事等を行う。
これらの地域連携・人材育成活動の概要は、
・『地域共同テクノセンター報 技術・研究シーズ集』
で隔年ごとに公開している。
同センターは、科学技術教育棟の1階に位置し、『テクノコミュニティ』と『テクノラボラトリー』から構成されている。『テクノコミュニティ』は、各種研究会・研修会や地域企業等との技術交流会議の場として活用される。
※1 なお、本校教員一覧の他、共同利用設備や本校の有する研究シーズに関しては、設備一覧、研究者一覧に示す。
○ 秋田高専地域共同テクノセンター技術研究会
学校が所有しているシーズ等の最新情報の公開を目的に、テクノセンターが主催する「技術研究会」を平成15年度から平成29年度まで開催した。
秋田高専地域共同テクノセンター技術研究会 | ||
開催日 | 概要 | |
第11回 平成22年9月17日 |
特別講演: 豊田中研でのエンジン研究開発と今後のモビリティへの提言 |
秋田県産業技術総合研究 センター所長 齋藤昭則 氏 |
研究公開: リハビリ動作の定量評価が可能な腕動作支援システムの開発 |
機械工学科 宮脇和人 氏 | |
研究公開: 可変支持点を用いた可変ばねに関する基礎研究 |
機械工学科 小林義和 氏 | |
研究公開: Massilia sp.BS-1が生産する青紫色素 |
物質工学科 上松 仁 氏 | |
研究公開: 稲作残渣を用いたアルコール発酵及び製造技術の研究 |
物質工学科 西野智路 氏 | |
研究公開: 亜酸化窒素を制御指標とした無酸素好気回分式活性汚泥法 |
環境都市工学科 増田周平 氏 | |
専攻科特別研究等のポスターセッション | ||
研究設備の見学会 | 於:秋田高専 | |
第12回 平成23年9月16日 |
特別講演: 放射線を正しく理解する |
自然科学系 上田 学 氏 |
研究公開: 環境材料の開発と応用 |
環境都市工学科 対馬雅己 氏 | |
研究公開: ハイブリッド型情報記憶デバイスの創造に関わる基礎研究 |
物質工学科 丸山耕一 氏 | |
専攻科特別研究等のポスターセッション | ||
研究設備の見学会 | 於:秋田高専 | |
第13回 平成24年11月24日 |
※一般社団法人日本機械学会と共催 | |
特別講演: 秋田発 宇宙教育とその展開-教育会角と人材育成の観点から- |
秋田大学大学院 工学資源研究科機械工学専攻 教授 土岐 仁 氏 |
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講演:36件 | 於:秋田高専 | |
第14回 平成25年9月5日 |
特別講演: 磁気記録媒体に関するこれまでの研究・・・その作成と評価 |
秋田県 企画復興部学術国際局 学術振興課研究推進監 有明 順 氏 |
研究公開:生物アロイの創世 | 物質工学科 榊秀次郎 氏 | |
研究公開: 水素ガスバリア性に優れたガラス膜樹脂複合材料の研究 |
物質工学科 佐藤恒之 氏 | |
研究公開: 分子動力学シミュレーションによる工学材料の物性の再現と評価 |
特任教授 成田 章 氏 | |
専攻科特別研究等のポスターセッション | 於:秋田高専 | |
第15回 平成26年12月6日 |
※第4回秋田高専共同研究会と併催 | |
講演:秋田県の技術開発支援策について | 秋田県 産業労働部 地域産業振興課 主査 山平路春 氏 |
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講演:石文化とふるさとでの地域貢献 | 株式会社寒風 常務取締役 鈴木博 氏 |
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講演:産学官連携による地域活性化の取組み ~岩手ネットワークシステムの活動紹介~ |
岩手大学工学部 応用化学・生命工学科 教授 小川智 氏 |
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講演:テキストマイニング技術とその応用 | 長岡技術科学大学 経営情報系 教授 湯川高志 氏(長岡高専OB) |
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講演:秋田高専における医工連携の取組み | 機械工学科 教授 宮脇和人 氏 | |
専攻科特別研究等のポスターセッション | 於:ルポールみずほ (秋田市山王4丁目) |
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第16回 平成27年8月5日 |
※第6回秋田高専共同研究会と併催 | |
研究設備の見学会 | 於:秋田高専 | |
専攻科特別研究等のポスターセッション | 於:秋田高専 | |
講演:秋田県次世代農業危機研究会について | 秋田県 産業労働部 産業振興課 技術振興班 副主幹 黒田逸人 氏 |
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講演:省電力を目指した電照ギク用照明の開発 | 秋田県産業技術センター 主任研究員 佐々木大三 氏 |
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講演:秋田式水田ロボット除草機の現状 | 株式会社秋田テクノデザイン 電子機器課 担当主任 今井淳容 氏 |
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講演:電波を用いた水位および水質管理手法 | 電気情報工学科 教授 駒木根隆士 氏 |
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講演:草本系バイオマスを用いた水処理技術 | 環境都市工学科 准教授 金主鉉 氏 |
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第17回 平成28年9月17日 |
※第5回秋田高専COC+研究会と併催 | |
専攻科特別研究等のポスターセッション | 於:秋田県民会館 ジョイナス (秋田市千秋明徳町2-52) |
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特別講演: 長岡技大出身者の技術者力を支える長期インターシップ「実務訓練」 |
長岡技術科学大学 工学研究科技学イノベーション専攻 教授 湯川高志 氏 |
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特別講演:秋田県における航空機産業参入支援の取り組み | 秋田県産業技術センター 所長 鎌田悟 氏 |
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第18回 平成29年9月15日 |
基調講演: 牛の第一胃(ルーメン)の機能をまねたバイオプロセスの開発 |
創造システム工学科 物質・生物系 教授 上松 仁 氏 |
シーズ発表: 金属二次資源のリサイクル技術 |
創造システム工学科 物質・生物系 准教授 野中 利瀬弘 氏 |
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シーズ発表: 天然資源を利用した生理活性物質の探索及び天然物アナログの創製 |
創造システム工学科 物質・生物系 助教 児玉 猛 氏 |
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シーズ発表: 高齢者、障がい者のための福祉機器の開発 |
創造システム工学科 機械系 准教授 小林 義和 氏 |
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シーズ発表: ウェアラブルモーションセンサを用いた動作計測 |
創造システム工学科 機械系 助教 齊藤 亜由子 氏 |
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専攻科特別研究等のポスター見学 | 於:秋田高専 |
○ 技術講演会(旧 最先端技術講演会)
最先端技術講演会は、学生のキャリアアップを目的とし、学生が普段は触れることが少ない最先端技術を、企業の開発技術者等から直に話を聞くことにより、高専の勉強が社会でどのように役立つのかについての“きづき”を与えるばかりでなく、本校教職員、産学協力会会員企業、秋田県公設研究機関他、多方面からの聴講者が参加できる形態とし、平成17年度から令和3年度まで開催(令和元年以降、「技術講演会」に改称)した。
技術講演会 | ||
開催日 | 演題 | 講演者 |
平成17年6月22日 | 進化し続けるモノづくり技術 | (株)日立製作所生産技術研究所所長 工学博士 伊藤文和 氏 |
平成18年7月12日 | 内視鏡医学と最新技術 | オリンパスメディカルシステムズ(株) 商品企画本部部長 小納良一 氏 |
平成19年11月14日 | 自動車産業における最新ものづくり技術 | 日産自動車(株)総合研究所シニアエンジニア 工学博士 太田 稔 氏 |
平成20年6月27日 | 航空機エンジン技術の現状と今後について | (株)IHI 航空宇宙事業本部 技術開発センター エンジン技術部長 工学博士 小林健児 氏 |
平成21年6月25日 | 航空機用新素材-炭素繊維複合材料- | 東レ(株)ACM技術部航空・宇宙技術室長 小田切信之 氏 |
平成22年6月16日 | 富士通の経営戦略と環境経営 | 富士通(株)環境本部ストラテジーエキスパート 古賀剛志 氏 |
平成23年6月10日 | LED照明の概要と動向 | 東芝ライテック(株)取締役 技術本部長 藤武浩二 氏 |
平成24年6月6日 | 日立のモノづくり技術の研究開発 | (株)日立製作所 横浜研究所 主管研究長 古澤賢司 氏 |
平成25年6月5日 | エンジン計測最前線 -ガラスのエンジンからレーザー計測・ 中性子イメージングまで- |
(株)豊田中央研究所 施策開発部 次長 秋濱一弘 氏 |
平成26年6月4日 | 情報セキュリティ最前線 -サイバー攻撃と防御技術- |
法政大学理工学部 応用情報工学科 教授 金井敦 氏 |
平成27年6月3日 | 人間特性に基づくシステム設計 | 東京農工大学大学院 工学府産業技術専攻 教授 北原義典 氏 |
平成28年6月8日 | 医療・福祉分野におけるロボット活用の課題と将来展望 | 中部大学工学部 ロボット理工学科 教授 大日方五郎 氏 |
平成29年6月7日 | 完璧品質ものづくりと価値づくり経営 | 東京大学 ものづくり経営研究センター 特任研究員 佐々木久臣 氏 |
平成30年6月6日 | 「技(わざ)」と「術(すべ)」を考える ~知識を知恵に変えるとは~ |
三菱重工業株式会社バリューチェーン本部 バリューチェーン技術部技術支援センター 技監・ME 大坂弘美 氏 |
令和元年5月29日 | 中小建設業者が取り組むICT(情報通信技術)最先端と若者へのメッセージ | 株式会社小原建設 代表取締役専務 小原 学 氏 |
令和2年7月8日 | 産学官連携による新素材開発への取組 | 株式会社宮城化成 代表取締役 小山 昭彦 氏 |
令和3年7月7日 | 秋田県の産業創生事業の紹介と、そこから考える新しい価値の創造について |
秋田工業高等専門学校客員教授 榊 純一 氏 |
○ 知的財産権セミナー
知的財産教育の一環として、知的財産権に関するセミナーを平成16年度より令和3年度まで開催した。なお、本セミナーの聴講者は本校学生のほか、本校教職員、産学協力会会員企業の方々、秋田県公設研究機関等、多方面から参加があった。
知的財産権セミナー | ||
開催日 | 演題および講演者 | |
平成20年12月19日 | 演題:特許とその活用 | |
社団法人発明協会 統括特許流通アドバイザー 佐々木勝彦 氏 | ||
平成21年12月14日 | 演題:特許の必要性について | |
熊谷繁弁理士事務所 熊谷 繁氏 | ||
平成22年12月9日 | 演題:特許戦略の最近の動向 | |
仙台高専 知財コーディネータ 佐々木伸一 氏 | ||
平成23年12月15日 | 演題:グローバル時代に知財を活かせる人財をいかに排出するか | |
仙台高専 知財コーディネータ 佐々木伸一 氏 | ||
平成24年12月12日 | 演題:特許について学ぼう! | |
(公財)あきた企業活性化センター 知財窓口支援担当 田嶋正夫 氏 | ||
平成25年12月4日 | 演題:特許について学ぼう! | |
あきた知的財産事務所 代表弁理士 齋藤昭彦 氏 代表弁理士 齋藤博子 氏 (共同代表) |
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平成26年12月3日 | 演題:特許権の取得から特許権侵害を巡る攻防まで | |
秋田大学産学連携推進機構 知的財産部門 知的財産ディレクター 角谷浩 氏 | ||
平成27年12月2日 | 演題:特許権の取得から特許権侵害を巡る攻防まで | |
秋田大学産学連携推進機構 知的財産部門 知的財産ディレクター 角谷浩 氏 あきた知的財産事務所 代表弁理士 齋藤昭彦 氏 |
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平成28年12月7日 | 演題:特許権の取得から特許権侵害を巡る攻防まで | |
あきた知的財産事務所 代表弁理士 齋藤昭彦 氏 和特許事務所 所長/弁理士 渥美元幸 氏 |
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平成29年12月6日 | 演題:企業の研究は特許をとるためにある | |
佐々・藤盛特許事務所 代表弁理士 佐々 健太郎 氏 | ||
平成30年12月5日 | 演題:企業で研究開発したら特許をとりましょう! | |
佐々・藤盛特許事務所 代表弁理士 佐々 健太郎 氏 | ||
令和元年12月4日 | 演題:特許入門 | |
佐々・藤盛特許事務所 代表弁理士 佐々 健太郎 氏 | ||
令和2年12月2日 | 演題:特許入門 | |
佐々・藤盛特許事務所 代表弁理士 佐々 健太郎 氏 | ||
令和3年11月10日 | 演題:産業財産権入門 | |
佐々・藤盛特許事務所 代表弁理士 佐々 健太郎 氏 |